10代から熱い支持を受け続けるホラー作家、山田悠介の作品を知る

映画ライヴについて

ホラー、というよりはグロテスクホラー

ホラー作品、といえばどんな作品を連想するでしょうか。個人的に言わせてもらうと、子供の頃初めて見て‘怖い'、そう直感的に感じたのは大分懐かしい『パラサイト・イヴ』という作品だ。小説や映画、ゲームと様々なメディアミックス展開をした当作品をCMで見る度、興味はソソられるが人体発火する様は子供ながら戦慄を覚えたものです。それ以来か、意図してホラー作品を見なくなった。邦・洋、関係なくだが、後者に関しては音と映像の迫力が強烈すぎるのでCMを一瞬見ただけでチャンネルを変えるか、はたまた目をそらしていたものです。

今はどうかといえば、リングや呪怨という日本のホラー映画の中でも最高峰と称される両作品を突っ込みつつ笑いながら見られるくらいになった。おもしろいくらいの様変わりだが、大人になったという証だろう。とはいえリングと呪怨では前者よりも後者の方が圧倒的に怖いわけだが、今年2016年にはまさかのバトルマッチを繰り広げるという超展開を見せるほど。正直そちらの完成度が大いに気になるところだが、今回はそれとはまた違った方向性の作品を考えていく。

ジャパンホラーと称される日本のホラー映画は、クオリティで考えれば世界にその名を轟かせるほどだ。特に先に紹介したリングと呪怨はハリウッドで映画化されて、かなりの評価を受けたほど。これに続けと多くの作品が世に送り出されてきましたが、日本映画が世界の映画市場に通じるかといえば中々そううまくはいかないものです。日本の映画は日本人がおもしろいと感じるものを作っているのが主体となっている、本来ならそれではいけないのですがやはり需要と供給を考えるとそうなってしまうのかもしれません。

そういう意味ではこちらの作品、2014年に公開された『ライヴ』という映画作品などが良い例として挙げられます。

ライヴとは

ライヴ、別に2000年代初頭に放送された今年の参議院選に何を血迷ったのか出馬することになった90年代後半に活躍した元女性ユニットの1人が主演したドラマ作品ではない。この元ネタを知っている人がいたら個人的には嬉しい限りだが、それは一旦置いておく。そもそも吹奏楽に身を投じる高校生たちの甘酸っぱい青春ストーリーとはかけ離れた作品なのが、このライヴという映画作品だ。

一言で言えば『ホラー映画』、そうジャンル分けされている。されているのだが、個人的な意見としてホラーだが、ホラーとしての要素が少し足りないのではないかと少しばかり思わなくもない。こちらの作品、あの山田悠介さんが著した原作を元にして映画化されているわけですが、実のところ原作とはかなり異なった展開を見せています。

映画原作で、劇中でも原作が鍵となる

ライヴを読み解くにはライブを読む必要がある、『ワケガワカラナイヨ』と白い悪魔が呟きそうな台詞を思わず口ずさんでしまいたくなりますが、そう言うしかない。どういうことかというと、映画原作のライヴ、これが劇中でも物語上で重要なキーアイテムであり、これがなければ話にならないのだ。

とある事情によって主人公たちはある催し物に参加させられることになる。その際、物語の動向を読み解くために必要なのが原作小説だ。それを片手にあちこち奔走することとなり、自分たちの目的を達成するために各々がそれぞれの思惑を抱いていくという展開です。表現とすれば斬新といえるかもしれません、実際おもしろいと感じる人はいるはずだ。

ややこしさが残るのも狙いなのかもしれないが、物語の顛末を原作を一読したことがある人ならばすぐに分かると思いますが、映画と原作は全く別物と見たほうがいいでしょう。少しそうした相違点を上げてみようと思います。

原作と映画の違い
原作
  • 致死性のウィルスから母を助けるべく、デスレースに自ら参加
  • 主人公は大学生
  • トラップを突破しつつ、トライアスロンを完走する
  • 順番に関係なく、ゴールできれば必ず特効薬がもらえる
映画
  • 拉致された親しい人を助けるため、主人公をはじめとする人々が強制参加させられる
  • 主人公はフリーター
  • 渡された小説を持って、次にどんな展開が起こるかを予想しながら走る
  • ゴールした数少ない人間だけしか特効薬を貰えない

人が死ぬ様は変わらない

ライヴもいうなればデスゲームありきという作品だ。ここ数年ではそうした命をかけた物語をテーマとしているマンガや小説がここぞとばかりに人気を呼んでいる。時代といえば時代なのかもしれないが、命をかけるにしてはやや軽視し過ぎではないのかと思うことも無くない。そしてこう言ってはなんだが、命をかけた作品と言っても結局は似たような展開になっているので、さすがにマンネリだろうと思っている人もいると思います。

こちらの作品ではトライアスロンというデスレースとなっている、ゴール出来さえすれば勝利という設定を鑑みると比較的ラインは低い方だ。ただその道中には様々なトラップが張り巡らされており、そこで多くの人が死亡してしまうのでやはり定番と言わざるを得ません。批判しているわけではありませんが、デスゲーム系の作品とはそういうものだ。

近頃の10代はこうした作品が特に好きだと言われていますが、それだけ命という物に希薄なのかと心配にもなる。

人気として

原作としての人気は高い、それに比例して映画も大ヒットするだろうと思われていましたが、最終的な興行収入は恐れ慄く『400万円』だそうだ。自主制作映画などではない、KADOKAWA制作の作品でこの結果なのだからやはりそううまくはいかないようだ。公開された館数が少なかったからというには、全国的に展開していての結果だとするならあまりに目が当てられない惨状でしょう。

つまらなかったのか、やはり原作とはかけ離れた内容に見たファンの意見を聞いて呆れてしまった人が多かったのか。物語としての内容に注視しつつ映画としての作品がいかなるものだったのか、その点を読み解いてみよう。